第一章 「気」

気に関する書物は世間に数多く出ています。洋の東西を問わず古人は、確かに気を見ていました。そして、それを著してきたのです。
中国文化の根本は、陰陽五行、並びに気でありましたが、歴史の流れの中で、気を確かに見ることができなかったであろう人達のノイズが混入したために、今日の複雑さを呈しているものと思われます。陰陽五行と気の根源は更にインド・チベットから西アジアに遡るのですが、その問題は別の所で触れる事になります。

ハリ・灸・吸玉等は個体に於ける気の流れを調節する技術であったでしょうし、中国料理・漢方薬は、外の気を取り入れ、陰陽の整えに用いられたことでしょう。
導引術は気の整形を計った技術でしたが、現在の気功術は、日本の太霊道を取り入れ、外気功へと形を変えました。
しかしながら、夫々の著書を見ると、形にのみ囚われ、気そのものの客観的な記載は不親切な傾向があるようです。
ここでは、誰でも気を見て、触って、感じて、動かして、実用化し、応用できるように、具体的に、客観的に、親切に、記載説明を試みたいと思います。


初級「気を見る」

まず、何をどうするか考える前に、実際に存在する気を見てみましょう。気とは元来、誰にでも見えるもので、ただ、気が付かないといったものでした。一度見えたら、こんなものかといった程度のものです。例えば、物にまとわりつく、うすい「霧」か、「もや」のようなものと、まず、考えてください。従って「物そのも」のを見ようとしたのでは、見えても見えてきません。見えている周囲の空間を、じっくりと観察してください。物の周囲にある「霧」を見るわけですから、目の焦点は物からはずしてください。人間の目は自動焦点ですから、物そのものに焦点が合ってしまう、これが気を見え難くしている原因の一つです。しかも、写真に撮ろうとしても、カメラレンズは被写界深度が人間の目よりはるかに浅いのです。即ち、焦点の合う範囲が狭いため、「もや」を写し止める事は、至難の技です。人間の目は、自動的に見ている物に焦点が合うとともに、自動的に明るさも決めます。それは、明順応・暗順応に加えて脳で処理される部分もありますから、気の明るさに丁度露出を合わせるには、フィルムで言えば18% 標準反射板、そのくらいの明るさの背景を選ぶことがポイントとなってきます。

さて、ここでは瞑想法とか呼吸法とかは、一切関係ありません。ただ、事実を観察してください。自分の手にまとっている気を見てもらいます。

■ 背景には、単調で、均一な黒から灰色で光を反射しないものを選んでください。例えば、明りのない薄暗い外空間。または、床から1mくらいの空間 に手を広げてください。

■ 手を広げ、指の周囲にまとわりつく「もや」を探してください。何もしない状態なら、指の周囲2-3mm には何もない層があります。まずここに何もな いことを確認してください。

■ 次ぎに、その何もない層の外に、白い縁取りが「霧」か「もや」のようにある事を確認してください。これは目の錯覚ではありません。目の錯覚ではないということが自分で証明できます。その仕方には簡単ないくつかの方法があります。

A 人によっては見えることは見えるけれど、目の錯覚だとか、複視だとか言う人がいます。そういう人は、試しに片目を瞑ってください。複視ではないことがわかるでしょう。目がぼけてるというなら乱視か角膜障害ですが、それならば、こんなにスム−ズには見えないでしょう。
B 気の見える人が、もしあなたのそばに居れば確実に確認してもらえます。

C 次の段階に関係しますが、両手を擦ってみてください。この擦り方は垢が出るほど強く、両手が熱くなるまでという感じです。それからもう一度、指の周囲の「もや」を見てください。形・大きさ・色が変化して、毛羽だった光のように見えます。ここで、気が変化することを目で見ることが出来ました。

D これも、後の段階に関係します。これは、まだ、出来ない人がほとんどでしょうが、この本に従って、段階をおっていけば、すぐに出来るようになりますから、焦らないように。指先にちょっと「意識の気」を巡らせるのです。指の周囲の「もや」がすうっと尾を引いて、たなびくのが見えます。

ここまでが、気を見る技術の初歩の初歩です。気功術やオ−ラの本は、ほとんどが、ここの所を書いていませんから、幾ら読んでも、自分の気が客観化できないと思うのですが、いかがでしょうか。ここまで、直接の指導で要する時間はたったの 2-3分です。 初級「気に触れる」

さて、気を見ることができたあなたは、既に気に触れてみたかも知れません。気を指先から出しながら、いじっているうちに、指先に何かを感じたかもしれません。ここでは触れることと感じることは区別して扱います。何故ならば、感じるためには、よりmentalな部分を働かせますから、客観的に証明しようとすると、その仕方は違ったものになるからです。ここでは触れることを扱います。

■ 両手の指先を10cm位離してください。そして、指先(中指)の気を見なが ら近ずけていってください。

■ 指先の「もや」が近ずくにつれ、くっついてくるのが見えます。更に、ど んどん近ずけていくと、指の周囲の何もない層が触れた途端、指先にビリビ リとした弱い感じを受けます。これが、誰でも感じることのできる気の部分です。

■ もう一度、今度は、両手を擦り合わせて、手のひらを向かい合わせ20cm位 の所から近ずけていってください。今度は、「もや」のくっついた所で、手 のひらに何かを感じました。■で感じた所より離れた所です。どんな感じが するでしょう。「ビリビリ」・「熱い」・「何かある」といった感じです。これが錯覚や自分の手の体温ではない事を証明します。

A 両手が熱く感じられるならば、考えられることは二つあります。即ち自分の手を熱く感じているのか、又は、相手の手の熱を感じているのかいずれかです。このどちらでもない事は簡単に証明できますが、もう一人誰かの協力が必要です。

B 両手を20cm位の所で止めてください。両手の間を上から下へ本か何かで遮ってもらいましょう。すると、両手の間にあった感じがすっと消えます。これで、自分の手の熱を感じていたのではないという事が解かります。自分の手が熱くないのに相手の手を熱く感じる筈はないという事にも気がつくでしょう。熱力学第一の法則です。

C それでも納得できなければ、あなたの両手の間を誰かの手で遮ってもらってください。まったく違った感じに気がつくでしょう。次ぎに手のひらの向きを反対にして遮ってもらいましょう。また違った感じを受けます。即ち、あなたは気の流れを感じたのです。これは、個人によって気のエネルギ−の基準点が違うために起ります。後に述べる、外気功・治療法に関係していきます。気の流れは右手から出て左手に入るのです。自分の手だけでこれがわかる人は、両手の間に、風が吹く感じ・又はビリビリする感じがありますが、これらの人は「いわゆる小周天」にすぐ、入っていけるでしょう。

D 静電気ではないかという人がいます。もしそうならば、衣服繊維でそれがおこった場合、「気」のように見えるでしょうか。見えません。フワフワとした感じは似ていますが。一度、両手を触れてから離してみて下さい。静電気ならば、その後、同じ感じは、起こらないはずです。

E 脳波か何かのように、生体の電位発生だという人もいますが、さて、それ自体が気の発生かどうかは、わかりません。只、慣れてくると「気」は水中の手先にも、見えるのですから、解明の余地はあるようです。 初級「気を感じる」

前にも述べたように気を感じる事は、気に触れる事とは異なったものと考えました。それは、よりメンタルな部分で気を感じる事を指し示します。ここまで進んだ人には非常に簡単なことに思われる技術です。
■ 誰か友人を連れてきてください。友人の体から2-3cmのところを左手中指又は左手のひらをかざしてくまなく気を触ってみてください。衣服の上からで充分です。凡その所では熱く感じられるでしょう。これは、体温とほぼ、同等のものと考えるかも知れません。

■ あちこち、手のひらをすべらせながら観察していくと、突然、あなたは指先に、熱く・腫れぼったく・圧力を感じるところを発見します。ここが、中国医学でいうところの陽証の部位・経穴です。また、べつの所では、熱がすっと消え、抵抗がなくなるような、指の気が吸い取られるような、いやな感じのする所があります。これは陰証です。これらを目で見る技術は後で述べることになるでしょう。

ここに、経穴と思われる何かがある事を証明するのは非常に簡単です。そのままツボになっていますから、指で軽く押してみるだけでいいのです。あなたの友人が、「何故、ここが悪いのがわかったのか?」と、あなたの感じたことが正しいと証明してくれるからです。 初級「気を動かす」

気を動かすことは、さらにメンタルな要素が大きくなりますが、気を見る技巧と合わせれば、練習しながら自分で観察でき、自分で証明出来ます。ここまでくれば、気が見えさえすれば進歩も早く確実に前進できることが、実感できると思います。

■ 自分の指先、指周囲の「気」を見てください。これまでは、手のひらを擦って気の大きさや形を変えてきましたが、今度は、見える「もや」の数cm先の外側に「もや」が、伸びているようにイメ−ジしながら目で追ってください。考えた瞬間に「もや」が伸びていくのが観察出来ます。さらに、その証明は、初級「気を見る」で述べた方法と全く同様に出来ます。そして、あなたは、思い込みではなく、気が確実に見えることを実感出来ました。

■ 気を「見る」・「触れる」・「感じる」・「動かす」ということは、全く同じ次元であることに気がつくでしょう。またこれらは、どれが欠けても、応用には結び付かないものです。


さらには、気の「応用」・「実用化」・「制御法」があり、客観的には証明しにくい難物で、上級編で述べることとして、取り敢えず、中級へ進んでください。なお、初級が完全に履修できたかどうか、当方で確認の出来ない方には中級のテキストは、お渡しできません。中級から上級へ進まれる場合も同様です。それは、きちんと確認しないで進んだ場合は、先に、「まえがき」で述べた雑音が混入する危険性があり、当方の取り組んでいるテ−マに反することになるからです。



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